[レポート]金融業4社のAWS導入事例(FSV201-iL より)#reinvent

[レポート]金融業4社のAWS導入事例(FSV201-iL より)#reinvent

Clock Icon2018.12.14

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

はじめに

IT推進室の渡邉です。今年のre:Inventでは、金融サービスのセッションがかなり増え、Keynote 2日目に事例紹介されるなど注目されていると感じたため、クラウド化の事例を中心に自分自身が理解しやすい分類で紹介しようと思います。 今回は、金融サービス・リーダーセッション にて紹介された4社の事例を紹介します。 FSV201-iL: Leadership Session: Cloud Adoption and the Future of Financial Services

セッション概要

Financial institutions are harnessing AWS capabilities to transform their existing businesses and bring innovative new solutions to market. In this session, Frank Fallon, VP of Worldwide Financial Services at AWS, reports on the shifts that the public cloud is enabling across the industry, such as the explosion of new digital channels, core systems modernization, and the integration of ML technologies at scale. Frank is joined by technology leaders of leading financial institutions who share their organizations' respective journeys with AWS to become more nimble, innovative, efficient, and responsive to the needs of their customers.

スピーカー

  • Frank Fallon - VP Financial Services
  • Claus Moldt - CIO, FICO
  • John Heveran - CIO, Global Risk Solutions, Liberty Mutual
  • Roger Stiles - CIO Personal Investing Technology, Fidelity Investments
  • Yuri Misnik - CIO, National Australia Bank

スライド

セッション全体の内容や詳細は、スライドや動画をご覧下さい。

動画

https://youtu.be/cR_Aii0K3OY

事例① Liberty Mutual Insurance社(LMIグループ)

1)企業情報、ビジネスモデル

  • 1912年設立のグローバル保険会社、総資産1380億ドル、損害保険米国4位 (米国損害保険は世界の半分くらい)
  • BtoB、BtoC   損害保険、自動車保険、住宅保険、地震保険(生命保険子会社など)
  • 世界900拠点、従業員4万人以上

2)業務・システムの機能、課題

  • IT課題 オンプレミス構造、マニュアル依存、週次・月次バッチ処理による待ち、レガシーシステム

3)クラウド化の範囲、進め方

  • パブリッククラウドの割合 2%(2017年1月) ⇒ 20%(2018年11月)
  • 環境別デプロイ状況  Sandbox 5%、デベロップメント 12%、ノンプロダクション・タスク 35%、プロダクション・タスク 48%(今後もっと拡大)

4)利用技術・サービス(AWS+その他)

  • 分野  コンタクトセンタ、ドキュメント管理(10億ファイル)、データ&AI、ワークグリッド
  • AWSネイティブアプリ 250本(Saas 130、既存APクラウド化 120)によりワークロードの 20%移行完了

Liberty Mutual To date, we’ve deployed 250 AWS native apps Highlights 120 applications migrated 130 net new applications 2...

5)導入後の効果、今後

  • 高いセキュリティと信頼性(誰も気づかぬままクラウド化を展開)
  • 業務・意思決定のスピードアップ、業務効率化
    • 週次・月次処理 ⇒ 自動化・迅速化~リアルタイム/日次
    • リクエストチケット ⇒ 不要(セルフサービス化)
  • 新技術・進化によりIT提供側もハッピーに

事例② National Australia Bank社(NAB銀行)

1)企業情報、ビジネスモデル

  • 1858年設立の国際的な銀行グループ。オーストラリア4大銀行の1つ、資産規模は最大。
  • BtoB、BtoC   元は富裕層、法人向け主体。 世界900拠点、従業員3万人、顧客 900万人。
  • 銀行、クレカ・アクセスカード向けクレジット枠設定、リース、住宅・総合ローン、国際銀行、投資銀行、ポートフォリオ管理、生命保険、信託・名義書換など
  • 普通預金の口座維持費0円により、学生人気高い

2)業務・システムの機能、課題

  • カスタマーエクスペリエンス向上と顧客ニーズ変化への柔軟迅速な対応のため技術革新へ(簡単、スケーラブル、モバイル対応、新アーキテクチャ)
  • 変革に対して創業160年の複雑さと絡み合いが混在
  • 600製品、2500アプリ、30フレームワーク
  • メインフレーム 1967年導入し、必要機能を都度追加

3)クラウド化の範囲、進め方

  • パブリッククラウドファースト戦略 を宣言
  • ビジネスを単純化して 600製品の半数を廃止
  • 3年で5憶ドル投資
  • 現在AWS上に 100ワークロード、3000人教育済。
  • 350人のAWS技術者(中途採用)+3000人のクラウド教育受講者により無理なく自然に誘導する(慣性の法則)
  • 自動化+セキュリティ・コンプライアンスの2軸で推進© 2018, Amazon Web Services, Inc. or its affiliates. All rights reserved. © 2018, Amazon Web Services, Inc. or its affiliates. All rights reserved.

4)利用技術・サービス(AWS+その他)

  • Amazonマネージドサービスをフル活用
  • AWS上にクラウドネイティブなしくみを構築
  • データ層はDynamoDB・Aurora、データ処理にLambda、コールセンタにConnectなどを利用© 2018, Amazon Web Services, Inc. or its affiliates. All rights reserved.

5)導入後の効果、今後

  • スケーラブル、セキュリティ信頼性、自動化、業務生産性向上、LT短縮
  • 業務や意思決定のスピードアップ
    • ビジネスロジック変更 3週間 ⇒ 45秒
    • サービスリリースのスピードアップ
  • 今後 2020年までにワークロードの 35%をクラウド化

事例③ Fidelity Investments社(フィデリティ投信)

1)企業情報、ビジネスモデル

  • 1930年設立のグローバル投資信託の販売・運用会社、運用資産7兆ドル
  • ドナルド・トランプの経営難を立て直したことでも有名
  • 日本法人の純資産残高2.7兆円以上(外資系1位)
  • BtoB、BtoC 顧客 300万人、従業員 45,000人

2)業務・システムの機能、課題

  • メインフレームとレガシー技術
  • ホームオフィス投資家1500人などの変化 ~ Fintech、クラウド化などITによる競争力強化へ

3)クラウド化の範囲、進め方

  • 4年前 クラウドストーリー作成
  • レガシー業務アプリをクラウド化 2018年1月 130件
  • AWS技術者 200人 © 2018 Fair Isaac Corporation. Confidential. 41 © 2018 Fair Isaac Corporation. Confidential. This presentation is provided...

4)利用技術・サービス(AWS+その他)

  • AWSマネージドサービス
  • アプリ開発 アジャイルアプローチ、CD/CIパイプライン、コンテナを使用

5)導入後の効果、今後

  • 業務や意思決定のスピードアップ
    • 提供LT 50%削減

事例④ FICO社(フェア・アイザック)

1)企業情報、ビジネスモデル

  • 1956年設立の分析ソフトウェアのリーディングカンパニー、売上10憶ドル、本社米国
  • 企業の成長、収益性、顧客満足度を高い水準に導く意思決定支援
  • ビッグデータと数学的アルゴリズムを利用して消費者行動を予測
  • FICO® Scoreは米国で消費者信用リスクの測定標準として利用 1,000憶件
  • 不正対策システム 利用クレジットカード 25億枚
  • BtoB 顧客90か国1万社以上 金融(6千社)、保険、通信、小売、政府、医療、物流、製造
  • 世界20拠点、社員3,400人

2)業務・システムの機能、課題

  • ソフトウェアの提供方法にクラウド追加 ~ AWS導入へ

3)クラウド化の範囲、進め方

  • 2016年AWS採用  コスト、スケーラビリティ、スピード、グローバル提供、セキュリティ・コンプライアンス
  • クラウド化  6~24か月、3,000万ソリューション
  • コンシューマサービス(MyFICO.com)、マーケティングソリューション、意思決定支援プラットフォーム

4)利用技術・サービス(AWS+その他)

  • パブリッククラウドのグローバル提供 (世界各地のデータセンタ、各国規制、コスト等よりAWS選定)
  • コアフレームワークの提供(プラットフォーム、セキュリティ、アクセス管理、ログ管理、24x365監視・サポート、PCI DSSコンプライアンスなど)
  • アプリ開発  Kubernetes Docker アーキテクチャ、K8API など © 2018 Fair Isaac Corporation. Confidential. 48 © 2018 Fair Isaac Corporation. Confidential. This presentation is provided... © 2018, Amazon Web Services, Inc. or its affiliates. All rights reserved.

5)導入後の効果、今後

  • ITワークロード 1/8~1/10削減 ~ アプリサービスや販売へ集中
  • 業務や意思決定のスピードアップ
    • スグに使える、信頼できる ~ 提供スピードアップ

最後に

まず、このセッションですが、1時間枠で4社事例紹介という点でも注目していましたが、1社10~15分枠内に効率よくまとめられ、各社の強調ポイントなどもわかりやすく、非常に好かったです。(さすがフランク・ファロンVP!)

次に、この4社をグローバル金融業のクラウド化先進事例とすると、まだ導入初~中期段階にあり、導入移行に時間かかるが期待どおり又はそれ以上の成果効果を得られていると思います。

  • セキュリティ、コンプライアンス、信頼性は全社共通の必須要件(当然ながら)
  • 同時にクラウド化、自動化、業務標準化・効率化、LT短縮、スピードアップなどを達成
  • 確実に成功に導くため、各社に合った独自の進め方を試行錯誤しながら慎重に
  • クラウド化した部分は期待どおり又はそれ以上の効果が出ている  ⇒ クラウド化は技術革新+業務革新となる!
  • 広範囲かつ規模大きく、導入初期~中期段階で本丸(本業の主要実務など)はこれからといった状況か

また、セッション内で紹介されたAWS顧客一覧や最近の国内ニュース報道等から、日本国内の金融業のクラウド化(及びクラウドを活用した事業・業務・システムの革新・進化)は海外よりも遅れ気味、発想変えると今後大きなビジネスチャンスがあると感じました。(日本独自の規制、商慣習、主要顧客層など他国とは異なるチャレンジも必要と思いますが)

今後も非力ながら事例中心の情報発信を通じて応援・支援していきたいと思います。

なお、本セッションの関連として、以下の金融サービス・セッションもレポートしています。ご参考まで。

この記事をシェアする

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.